利用者が語る格安SIMの使用感と問題点

MVNOだの格安SIMだのと騒がれて早数年。

「興味はあるけど、実際に変えていいものだろうか……」と二の足を踏んでいるユーザーもまだまだと多いみたいですね。

MMD研究所の2017年9月現在の調査結果ではMVNOの利用率はたったの8.5%。

MVNOという言葉を知っているという認知率は89.1%、サービスの内容理解率は47.5%という数字を見ると「知れ渡ってはいるが、行き渡ってはいない」というのが率直なところですね。

出典https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1667.html

この調査結果ではなぜMVNOに変更しないのかという理由までは記述されていませんが、思うように普及率が伸びない背景には「キャリアのサービスと料金に十分満足していて、今更変更する手続きが面倒くさい」という動機が圧倒的に多いのでしょう。現在使っているサービスになんら不満がなければ現状維持を望み、面倒なことには巻き込まれたくないのが人間という生き物のサガです。

そこで実際に三大キャリアからMVNOに変えてしばらく経つ筆者が、率直に現在の感想を述べてみたいと思います。

果たして契約変更という「メンドくさい作業」をする意味があったのか、そしてMVNOにしてどうなったのかを知っていただき、ぜひ節約の参考にして欲しいと思います。

Q.筆者の環境は?

もともとソフトバンクのiPhone6Plus(128GB)を2年ほど利用していましたが、端末代金を払い終えて月々の割引が終了した時点でMNPを利用して電話番号そのままでIIJmioに乗り換えしました。

残念ながらiPhone6PlusはSIMロック解除の対象機種ではありませんでしたし、変更当時はSoftbank回線のMVNOも存在していなかったので、docomo回線のIIJmioとSIMロックフリーのASUS製「ZenFone3(ZE520KL)」を3万円強で購入し環境をまるごとiOSからAndroidへと変えることになりました。

Q.MVNOに変えた動機は?

最も大きいモチベーションは「月々の利用料金が下がるから」ですね。月々平均で7,000円かかっていたものが2,000円前後になると聞いてこれはデカイなと感じました。

私がキャリア契約をしていた当時は接客業従事者で、勤務中は当然スマホをいじる時間などありませんし、小売業なので頻繁に営業のアポをとったり、取引先にガンガン電話をかけたり、上司に逐一報告の電話をかけることもありません。(上司への連絡はもっぱら社内PHSがあるのでそれでやっていましたね!)使うのはせいぜい通勤の往復時間にネットをしたり、家に帰ってからゲームしたり、あとは休日に出かけたとき地図やお店の情報を探すくらいです。

よく使う機能としてはweb閲覧とスマホゲーム、あとはLINEとたまに上司に電話で勤務シフト確認の連絡をしたりするとき程度でしょうか。正直に言って携帯電話というよりは時間つぶしのための情報端末という感じの使い方でしかありませんでした。

なので、利用頻度の割に毎月の料金が高いなぁと常々思っていたわけです。というかガンガン電話で使う人にとっても定額パケットプランは割高に感じられるのではないでしょうか?

特に何かをしているわけでもないのに、必要なライフラインだからといって毎月6,000円~8,000円程度を請求されていたのでモヤっとしつつも、仕方ないので支払っていたのです。

そこに登場してきたのが「通話プラン付きMVNO」という救世主。

確かに最初は「おいおい、こんな安くて大丈夫かよ…」と思いましたよ。さすがに月々2000円足らずでキャリアと同等レベルの機能を提供しようというんだから、怪しんで当然です。

でもいろいろと調べているとキャリアとの価格差は サービス内容によく表れているなと感じられるようになりました。まぁそれについては後程。

あとは余談ですが、バッテリーの劣化やアプリがよく落ちるようになってしまったので機種ごと変えたいなと漠然と考えていたタイミングでもありました。

そんな時にMVNOの話題を耳にして、機種を変えるならプランごと変えても手間はそれほど変わらんかもと思い、契約変更に踏み切ったというのもあります。

Q.率直に聞くけど、MVNOに変えて正解だった?

結論から言うと、私は大正解だったと思います。

しかしMVNOに変えて良かったか後悔するかを決めるポイントはいくつかあって、

  1. 家庭の環境
  2. どんな仕事に就いているか
  3. ライフスタイルは活動的なのかインドア的なのか

というところにとても左右されます。

まずは1の家庭の環境について。私の場合は家族まとめて全員ソフトバンクを使っていて、それは「請求が父親のもとに一元化されていて、父親がクレジットカードで支払いを立て替えていたから」という理由なだけでした。

我が家はそれほどアクティブな生活を送るほうではないので、家族間の通話もほとんど使用しません。たま~にショートメールで

「夕飯いりますか?」「今日は遅くなるのでいらないです」

くらいのやり取りが月に数回あるかないか、といった程度。

この点からも家族間で通話無料というキャリアの大きな強みはほとんど活かされていないなぁと感じてはいました。結婚して家を出ていった姉もSoftbankからdocomoに変えてしまったので連絡手段としてキャリアを使うメリットはすでに失われていたのでした。

ここでのポイントとしては

  • 家族間でそんなに通話しない
  • 仕事でも通話する機会は少なかった
  • 他人との連絡はもっぱらLINE
  • 家でWi-Fiが使える環境だった(無線ルーターがある)

といったところでしょうか。

私は毎月3GBのプラン(今は契約時の特典で4GBに増量されています)を契約しています。

それなりに外でTwitterを見たり、スマホゲーをしたり、地図を使ったりしていますが、それでも容量を使い切ってしまうということは今までありません。

私のような使い方であれば、MVNOに変えて「不都合が生じた」とか「実利用に耐えられなくなった」というトラブルはまず起きないと考えてよいでしょう。

Q.MVNOはキャリアと比べて通信速度が遅いみたいだけど?

はい、遅いです。けどそれが何か?

すみません、思わず言葉遣いが荒くなってしまいましたが、でも通信速度って現実問題そこまで重要じゃないと私は思っています。

「MVNO 遅い」で検索すると、すでにいろいろなサイトが実際に速度を計測したり、遅い時の対策法を紹介しています。

実際の速度データはそれらのサイト様にお任せするとして、通信速度はある一定以上が平均して出ていれば実利用に問題はありません。

もちろん少しでも通信速度が速いほうがネットをするうえで有利なのは間違いありません。しかしネットをするうえで忘れてはならないのが「コンテンツは相手のサーバーの上にある」という点です。つまりサーバーの速度もページの表示速度やゲームのレスポンスに影響してくるということです。

何が言いたいのかというと、いくら自分のスマホの通信が速くても、見たいコンテンツやゲームが必ずしもサクサク動くとは限らないよねということです。

とりわけネットに関してはプロバイダによる設備投資が日々行われていますが、増え続けるアクセスと負荷をしっかりと受け止めて処理できているサイトばかりではありません。

サイトのデータが置かれているサーバーの処理が遅くてなかなかページが開かなったり、アクセス人数が多すぎて負荷がかかっていたりしてつながりにくくなっていたり・・・。

ネットの速度に関しては自分の環境をいくら整えたところで全てのパフォーマンスが向上するわけではないということを頭に入れておきましょう。

これは私の持論ですが、世のサイトは「軽くてすぐに開く」か「重くて全然開かない」かの2つしか存在しないと考えています。

「軽くてすぐに開くサイト」は、こちらの通信速度が仮に少し遅かったとしてもほとんどストレスを感じずに閲覧することができます。

一方の「重くて全然開かないサイト」は自分の通信速度がいくら速くても意味がありません。サイト自体が高負荷状態でなかなかデータにアクセスできないので、こればかりはユーザー側の努力や設定をいじくったところで対処できないのです。

このことから私はMVNOがいくらキャリアと比較して通信速度が遅いといえども、ある一定ライン(1Mbps以上)の速度が出ていれば実利用に何ら問題ないし、それ以上はユーザーレベルではどうしようもできないものだと考えられます。

実際、私はMVNOに変えてから平日昼の秋葉原で何度かモンストのマルチプレイを遊んでおりますが、一度も通信が途切れたりすることなく楽しめました。(協力相手の接続が切れたことはありましたけど笑)

数字上は遅いMVNOは多々あります。それはCMによる公告が功を奏してユーザーが一時的に増加した結果、少ない帯域の奪い合いが起こっているからです。

こうした速度低下は一時的なものと考えられます。なぜそう考えるかというと、いまやサービスの品質低下はSNSなどネット上を通じてすぐに広まる時代。良くも悪くもユーザーへの認知スピードが加速している現代では、そうした悪評を放置しているとあっという間にユーザーが離れていきます。日々顧客の奪い合いが発生しているMVNO業界では、少しでもユーザーの不満が噴出しないように必死に品質の維持管理を行っています。なので『通信速度が遅いまま』という状態はすぐに改善されることが期待できます。

また通信技術の革新スピードは年々加速しており、今は通信速度が遅くてもすぐに改善できる技術革新が起こる可能性も十分あります。

目先の評価やSNSでの口コミを鵜呑みにしてすぐに判断を下すのではなく、自分が納得できる料金プランを提示しているMVNOがあるかどうか、という目線でチョイスするべきです。そこに通信速度がどうとかを考える必要性はありません。

Q.MVNOに変えて困ったことはないの?

困るとまではいきませんが、気になったことはあります。

それは「エリアメール・緊急速報メール」が鳴ったり鳴らなかったりすることです。

私の契約しているIIJmioでは、SIMフリー端末によるエリアメール・緊急速報メールの受信を保証していません。

IIJmio Q&A
IIJmioのよくあるご質問にお答えします。お申し込みをご検討中のお客さま、ご利用中のお客さま向けに、ご契約や他社からの乗り換え、料金プランや各種サービスについての質問と回答を掲載しています。
Jアラートの配信による緊急速報の受信に関するお知らせ

ところが、2017/10/22~23にかけて列島を襲った台風21号の時、私は個人的な用事で東海地方にいたのですが、日中に結構な頻度で緊急速報が届きました。

その一方で、北朝鮮がミサイルを発射した際のJアラートは受信しませんでした。

つまり受信するかしないかよくわからないのです。

近くにテレビやラジオなどの情報端末があれば、特に緊急速報が届かなくてもそれほど困ることはないのですが、その辺の受信設定が曖昧な形になっているのがとても気になります。

気になったことはそれくらいですね。

機能面で不満だったり、日々の生活に支障が出る致命的な欠陥は感じたことがありません。(というよりそんなものがあったら通信商品として成り立たないよねっていう話)

Q.MVNOにしたいんだけど、気を付けておくことってある?

これはキャリアのスマホでも当てはまることですが、まず自宅でWi-Fiが使えると便利です。

MVNO契約時に毎月の通信容量を決めるのですが、動画サイトをよく見る方や常時接続用のモバイルルーター向けの大容量プランで月に20GBや30GBのプランというものも選択できます。

自宅にネット回線を引いていない方はスマホでの通信が多くなる傾向にありますので、そうした大容量プランは便利ですが、容量が多い分毎月の利用料金が高くつきます。

またモバイル通信は通信速度に波がありますし、時間帯によってはどうしてもつながりにくいこともあります。そんなときもWi-Fiであれば安定した速度でネットを楽しむことができます。

例えばIIJmioではネット回線とMVNO回線をセットで申し込むと割引になるキャンペーンもやっていますので、自分のネット環境全体を見直してみるといいでしょう。

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youtubeなど特定のウェブサービスを多用する方なら、エンターテインメント関連の通信を容量としてカウントしない「カウントフリー」プランを提供しているMVNOにすると毎月の容量を気にせずにどこでも動画を楽しめるようになります。

BIGLOBEの提供しているMVNO「BIGLOBE SIM」ならエンタメフリーオプションに加入することで毎月480円でyoutubeをはじめとする動画サイトや音楽サイトの通信がカウントフリーとなります。

通勤時間や自由時間の動画鑑賞が生きがいとなっている方も多いので、こうしたカウントフリーオプションを利用すると毎月の通信容量は少なくて済むようになるかもしれません。

気を付ける点としてはこのくらいでしょうか?

キャリアからMVNOになったからといって、皆さんが思うほどモバイル環境は変化しないものです。

最後に伝えたいことは、使い勝手は変わらないのに支払う料金はかなり変わる、ということですね。

早く変えれば変えただけオトクになるし、変えるのを渋れば渋るほどめんどくさくなって毎月損をしていき、気が付けば数万円単位の差が生じる。

それがまぎれもない事実です。

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