格安SIMで2台持ちは簡単に実現できる時代に
かなり前の話になるが、まだ筆者がSoftbankのスマホを使っていたころiPhoneに格安SIMを入れて2台持ちをしていた時期があった。
当時の格安SIMはまだIIJmioくらいしか選択肢がなく、200kbpsの3G通信のみ利用可だった時代。それでも月額980円でスマホが使えるのは非常に魅力的だった。
実は2台持ちにする前はメインスマホ、ポケットWi-Fiルーター、iPod touchという”3台持ち”で日々過ごしていた。どうしてもやりたいゲームがiOSでしかプレイできなかったので、無理やりiPod touchにインストールしてポケットWi-Fiルーター経由で通信していたからである。
さすがに一つのゲームのために3台ものデバイスを持ち歩くのはしんどくなってきたので、中古でもいいからiPhoneを導入してまとめてしまおうという作戦をたて、導入に至る。
そんな2台持ち経験者である筆者が今回、2台持ちをしてよかったこと、期待はずれだったことをそれぞれ吐き出してみようと思う。
格安SIMの宣伝によくある2台持ちのススメは本当に正しい広告なのか?
2台持ちをするメリットはどこにあるのか?
今後格安SIMを検討する方の判断材料となれば幸いである。
2台持ちをしてよかったこと
異なるOSを利用できること
筆者が最も恩恵を受けたのが異なるプラットフォームのスマホを2台使えたことだ。
先ほども述べた通り、アプリによってはOSの制限を受けることもある。具体的にはiOSでしかリリースされていないアプリがあった場合、メインスマホがAndroidの場合はそもそも利用できないことになる。しかし2台持ちであればこの問題はクリアできる。
あとこれはちょっと特殊な事例だが、androidとiOSの両方が使えることでアプリごとの適したプラットフォームがわかったりする。
どういうことかというと、例えばiOSでは100円で売られているアプリがAndroidだと無料で配布されていたりするのだ。画像の加工ソフトなどが該当する。
あとゲーム内課金の仕組みもOSごとに少し変わっている。とあるゲームはiOSだと120円単位の課金単位だったものがAndroidだと100円単位で課金できたりする。これはアップルのマーケットのレートの問題なので個人でどうこうできる問題でもない。
2台持ちで異なるOSのスマホを持ったからこそこのような問題に臨機応変に対応できたのだと感じている。
片方を連絡用、片方を遊び用にできる
これも2台持ち派に多いのではないかと思うが、メインスマホをなるべくサクサク使いたいので必要最低限のアプリだけにしてきちんと連絡用のスマホとして管理したいということもあるのではないだろうか。
アプリもモノによってはイマイチ信頼性に欠けるものもみられる。特にゲームやエンタメ系のアプリはやたらと権限を要求してきたりするので自己防衛のためにも個人情報の詰まったメインスマホとは別にして自衛を図るほうがトラブルによるリスクを回避できる。
これはかなり極端な例だが、メインスマホは仕事や家族用、もう1台は遊び仲間用と分けて使うこともできる。
スマホごとに属性を変えてあげれば間違ったメッセージを誤爆したり、よくわからないうちに画像が関連付けられてみられたくない人にバレたりするような事故もふせぐことができるだろう。
2台を上手に使い分ければ面倒ごとを避けられるということだ。
おサイフケータイの運用に使える
メインスマホがおサイフケータイに対応していない場合、サブ機がおサイフケータイ対応機種なら格安SIMを入れることで各種電子マネーの機能を使うことができるようになる。(SIMカードを入れないとおサイフケータイの機能が有効にならない)
これはWi-Fi環境だけでは実現できないのでSIMカードを契約している場合だけのメリットである。
おサイフケータイなら電子マネーを1つにまとめることができるのでICカードの管理がだいぶラクになる。特にSuicaを使えるようにしておけば首都圏ならグリーン券の発券や特急列車のお得なきっぷなどが利用できるので移動が多い方ならおサイフケータイを導入するメリットは十分感じられるだろう。
2台持ちじゃなくてもよかったなと思ったこと
今はテザリングで十分
さきほどおサイフケータイの例を挙げたが、逆にスマホとしての通信機能が使えればいいという場合はメインスマホからテザリングさせれば使いたい時だけ通信することができる。
連絡用にスマホを分けている場合はテザリングだとリアルタイムな通信ができないので厳しいが、ゲームやウェブ閲覧など一時的なネット接続だけでいい場合はテザリングで十分。
常時接続で2台持ちをするわけではないのであれば、テザリングで対応したほうが経済的になる。
充電や管理が面倒になってくる
2台持つということは、充電したり持ち歩いたりするのも2台になるということだ。
しっかり管理できるというのであれば問題ないが、よく忘れ物をしたりうっかりミスが多い人だと置き忘れたり充電しわすれたりすることも多くなりリスキーだ。(実際にまわりにそういう人がいたのでね……)
2台持ちに明確な意味がない人はこの傾向に陥ることが多い。
古い機種を活かすことは難しい
某SIMの広告に「古い機種を眠らせているくらいなら、格安SIMで復活させよう!」という売り文句を見かけた。
そこで紹介されているのは自転車にくっつけてサイクルコンピューターやGPSナビとして使おうというものや、子供を静かにさせる動画再生マシーンとして使おうという内容だった。
ここでひとつモノ申したいのだが、自転車にスマホを付けてナビするのなんて「知らないところを走行するとき」くらいだ。さらに言うと自転車を日常的に使っている人じゃないと恩恵を受けるのは難しい。スマホを止めるホルダーもしっかり用意しなければならないし、なかなか継続して利用するのは難しいのだ。(下手なホルダーを使ってスマホごと落っこちそうになった経験アリ)
あとGPSナビを使うと画面表示と通信を絶えず行う必要があるのでバッテリーを使うし、なにより尋常じゃないくらい熱がこもる。
熱がこもるとスマホのパフォーマンスが低下してきて、機種によっては最大輝度を問答無用で下げてくるものもある。皆さんも経験があると思うが、日中の屋外で画面輝度が下がると死ぬほど見づらくなる。
動画の再生も同様で、短時間の再生なら問題ないものの長時間になるとスマホが熱を帯びてくる。
古いスマホを活かしたいのは山々だが、期待しすぎるとかえって落胆することもある。
データ専用SIMで月々1,000円の出費だったとしても1年使えば12,000円かかる。このことをよく考えて欲しい。
2台持ちをするときは目的を明確に
「ただなんとなくよさそうだから」という理由で2台持ちにすると余計な出費がかかるだけであまりメリットがないことも多い。
「連絡先を分けて管理したい」
「連絡をよくとるのでゲームアプリ用と分けたい」
というような明確な目的があれば有意義に運用することができる。
今ではMVNOでも格安SIMでもSIMフリー機種を中心にテザリングが使えるものがかなり増えてきたので、単純に2台を使いたいだけならテザリングで運用するほうがSIMの管理もしなくて済むのでお手軽だ。
古い機種を活かす場合はその機種のバッテリー状態やスペックを確認して無理のない運用を心がけよう。
また複数枚のSIMを契約するならIIJmioだと同一契約内のデータ容量をシェアできるので、単純なSIMカード追加分(データ通信なら月々+400円(税別))で新たなSIMカードを持つことができるぞ。
これなら新規で別に契約することなくSIMを増やせて維持費も抑えることができる。