nosekae.comでは一貫して「本体価格+毎月かかる通信費」の総額でスマホ代を考える重要性を説いてきました。
なぜそのようなことをしてきたのかというと、キャリアの提示するプランが支払総額をとてもわかりにくくしているからです。
一部のキャリアや代理店が実施するキャッシュバックをフル活用して2年ごとに渡り鳥のように契約を変えながら安く使い続けるという「モバイル猛者」もいらっしゃるようですが、それは誰にでもできる芸当ではありません。
常にスマホ業界を研究して、自分の意思で積極的に契約を変更することができる人じゃないとその恩恵を受け続けることはきっとできないでしょう。
私が思うに多くの方は「スマホ代にはほとんど無関心」なんじゃないかと思うのです。
確かに、よくわからないことって後回しにするよね。
人間って追い詰められない限り現状維持を好む生き物だからね。
「面倒くさい」は絶対に損するキーワード
結婚して都内に住んでいる私の姉は、かなりの節約家(ケチ)です。
子供も2人いるので毎日子育てに奔走していて、自分の時間もあまりとれていないようです。
たまに実家に帰った時に会うのでいろいろな話をするのですが、この間はスマホの話になりました。
つい最近スマホに変えたという姉はソフトバンクユーザー。料金は夫の分と合わせて12,000円くらいだと言っていました。
そこで私は自分のスマホ代が毎月2,000円もかかってないことを告げると少し驚いていました。しかし、その後格安SIMやMVNOの話をしたのですが、あまりピンと来ていないようでした。
それでも「安いからあんまりスマホ使ってないなら変えてみたら?」と提案すると、次にでた言葉が
「え~、面倒くさいからいいよ、このままで。」
その時ハッと気が付きました。きっと世間一般の認識ってこの程度が当たり前なんだと。
わかるわかる~!
興味ないことってスルーしたくなるんだよね。
実はこれ行動心理学でいう「現状維持バイアス」にかかってしまっている証拠なんです。
「よく知らないから」
「よくわからないから」
「今のままが安心だから」
「特別に困ってるところもないから」
これらのワードに加えて「子育てに忙しい」「毎日の生活に追われて疲れてしまっている」など、自身の環境面をさらなる言い訳として適当に過ごしていくと、どんどん行動する気力が奪われてしまうのです。
そういう人ほど妙なところで節約を意識したりするんですよね。スーパーの買い物で10円・20円の違いを気にするんですが、私に言わせればそんな違いなど些細なものにすぎません。
もっと変えるべき部分があるのに、何か理由をつけてそのままにしてしまう。これは現代人の多くが陥りがちな悪いクセです。
私はスマホをキャリアからMVNOに変えてから月額で5,000円も安くなりました。Softbankに月に7,000円貢いでいたものがMVNOに変えたら月2,000円になったからです。
たぶんMVNOに無関心のままで知識を得ようとしなかったら、そのまま7,000円を払い続けていたかもしれません。
5,000円を節約するのがどれくらい大変か、聡明な皆様ならすぐにわかるはずです。
5,000円を稼ぐのは大変です。その苦労は社会人の方なら骨身にしみていることでしょう。
でも、それが「スマホ代の見直し」という部分で可能になるならチャレンジする価値は大いにあると、私は思います。
その努力もせずに「面倒くさいから」「忙しいから」という理由で現状維持を続けている限り何も変わりません。
最後はちょっと説教臭くなってしまい申し訳ありませんが、面倒くさがらずにちょっとだけ時間を作ってMVNOへの乗り換えに意欲を持ちましょう。
まずは情報収集をして興味を持ってもらうだけでもかまわないです。
とにかく、無関心が一番モッタイナイことなんですよ!
税金と同じで「知らないだけで損しまくってる」っていうシチュエーションはかなり多いんだよね。
まずは興味を持って知識を得ようとする姿勢が大事だよね。
国も認めるほど、日本のモバイル料金は高い
菅官房長官が2018年8月21日に札幌で行った講演で、日本のモバイル業界についてかなり厳しい指摘をしています。
話のポイントは3点あり、
- 3大キャリアの利益率が高すぎる
- 競争が働いていないので料金が高止まりしている
- モバイル市場内での競争を促して4割ほど料金を下げたい
という感じです。
最も大事なのが3つ目の「競争を促して4割ほど料金を下げたい」というところです。
これは暗に「SIMロックのシステムをやめさせたい」ということを言っています。
ではなぜSIMロックのシステムを撤廃させたいのでしょうか?
これには2つの目的があると推察できます。
1つは単純で、SIMロックがなければいろいろなブランドが提供しているSIMカードをいろいろなメーカーのスマホと自由に組み合わせることができるので、消費者にとってスマホ選びの自由度が向上して市場の競争原理が働きやすくなることが考えられます。
もう1つはキャリアの提供している「わかりにくい」「高止まりしている」料金プランを見直す目的が考えられます。これにはキャリアの行っている「2年縛り」と「端末の月額割引」システムの存在こそ、スマホ代が高止まりしている諸悪の根源であるからです。
キャリアでスマホ本体を購入すると割引が受けられます。これは「2年間よその回線に変更しないことを約束してくれたら、スマホ本体を安くしてあげますよ」という契約(月々割とかいう名称で表記されています)に基づいたものになっていますが、このシステムが存在する限り当該キャリアは少なくとも2年の間は利益を確たるものにできるわけで、これでは競争が働く余地がありません。その後もこの契約は自動で延長されますのでおとなしい消費者なら下手したら一生同じキャリアのまま契約し続けてくれる可能性すらあります。
そんな「SIMロック撤廃」「2年縛り撤廃」をすすめていくことで、消費者はもっと多くの通信会社から今よりも安価に通信の契約を結ぶことができ、中古スマホのSIMロック解除も自由にできるようになれば、スマホ本体も新品だけでなく中古からも選ぶことができるようになります。その結果、モバイル市場での競争が働くようになりモバイル通信の料金も必然的に下がっていくことが期待されます。
大手コンサルティング会社の方が書いた記事で「料金の4割引き下げは現実的でない」という意見があがっています。
その記事の内容をすべて否定するわけではありませんが、有名芸能人をたくさん起用したクッソつまらないCMを頻繁に流したり、毎月ユーザーに無償でサービスを提供するだけの余裕があるのですから「キャリアは料金の引き下げをやろうと思えばできるけど、やる必要がないのでやっていない」と見るべきではないでしょうか?
つまり現状では本気でユーザーに還元する気なんてハナからないんですよ。
いままでの流れで「携帯電話はショップに行ってセットで買うのが普通」っていう意識が根付いちゃってるよね。
一度慣れてしまった感覚を変えるのは大変だけど、通信業界に大きなメスが入りかけているいまだからこそスマホとSIMカードを組み合わせる方法をちゃんと知っておきたいね。
今後のMVNOはどうなる?
菅官房長官はこの「スマホ料金問題」を2019年度末までに報告書をまとめる方針でいます。これは2020年に商用化が見込まれている「5G」の提供に合わせてモバイル市場を再整備したい狙いがあります。
とはいえ、大手キャリアもこの発表に危機感を持っています。あの手この手で消費者を囲もうとしてきますから、すぐにMVNO並みに料金が下がるかどうかと言われたらそれはありえないでしょう。
しかし国の方策に逆らうことは難しいですから、キャリアは今後MVNO側に有利な条件で通信網を提供する可能性もあります。単純に料金を下げただけなら、サービスの質で劣るMVNOが一気に崩壊しかねませんからね。
たとえば国からの要望でMVNOの利用帯域を最適化して回線速度の向上を求められたりするなど、モバイル通信においてキャリアとMVNOとの格差をなくしていき、モバイル市場の競争を活性化させたい狙いがあると考えられます。
「スマホ」という国民生活に定着してきた新しいインフラにおいて、キャリアが必要以上に儲けを出していることが問題なのですから、しっかりとした競争環境において価格や利益が適正になっていくことを期待するでしょう。
いずれにせよ国は本気でモバイル料金を下げたがっていることに間違いありませんし、MVNOにとっては大きな味方をつけたのではないでしょうか。
今後の中古スマホのSIMロック解禁もあわせて、2020年までのモバイル業界の動きをしっかりと注視していきたいですね。
日本の通信が大きく変わろうとしているのはよくわかったよ!
いろいろな通信会社から自分に合ったSIMを”適正な価格で”選べるようになる時代はいよいよ本格化していくんだね。